最近よく耳にする「なぞ解き」の「なぞ」という言葉。
日本の「なぞ」の古い例は、平安時代中期の『枕草子』第一四七段(能因本系統)に見られ、
貴族たちが「なぞ」を出題し合って勝負を決める「なぞなぞ合」という催しが盛んに開かれていたと文献に残っています。
つまり、1000年以上前から「なぞ」という言葉は親しまれていたことになります。
では、「パズル」という言葉は日本ではいつから使われているのでしょうか?
それは、明治24年(1891年)11月15日に博文館から出版された、坂下亀太郎 著「實地應用 物理竒觀 第三編」という書物が最初です。
物理竒觀(全3冊)は、応用科学、応用数学、手品、これらの遊びが収録されている本で、その三巻目 138ページにある「智慧の輪金」(現在で言うところのチャイニーズ・リング)の紹介で「パッヅル」という言葉が初めて使われました。
注目していただきたいのは「パッヅル」の注釈で「知恵を試みる玩具を称して云う」と書かれていること。
現在は知恵を試みる問題すべてが「パズル」と呼ばれていますが、当時はチャイニーズ・リングという知恵の輪の紹介だったためにそれらの玩具を「パッヅル」と言っていました。
ただ、大正時代に入ると、紙面上で知恵を試みる問題も「パッヅル」「パヅル」と呼ばれ始めたため、玩具だけを指して「パッヅル」と呼ばれていたのは明治中期~後期の20年ほどの間だけだったようです。
★「パッヅル」「パヅル」「パズル」が使われた時期★
・パッヅル(明治21年~昭和5年頃)
・パヅル (大正14年頃~昭和24年頃)
・パズル (昭和24年以降)
コメント